<大和証券 投資戦略部 部長 高橋和宏氏>
スペインの銀行格下げなどによりユーロ圏の不透明感が増したほか、米経済指標の下振れでドル安に振れたことが日本株の大幅安につながっている。特段目新しい材料はないが、警戒感をぬぐえずに下値を探る展開になっている。市場の関心が高いギリシャ動向は、デフォルトやユーロ離脱などの前に、資金繰りが厳しくなったギリシャの銀行による預金の引き出し凍結などが警戒されており、パニック的な動きになるかならないかの分岐点に差し掛かっているのだろう。
日本株は外部環境が落ち着けば押し目買いが入ってもおかしくない水準にあるが、欧州中央銀行(ECB)などによる政策を待ちながら下値を固める段階とみている。目先の節目は日経平均8500円水準だが、パニックとなれば2011年11月安値8135円79銭も視野に入るだろう。
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17日早朝の東京外国為替市場で、円相場はほぼ横ばいで始まった。8時30分時点では前日17時時点に比べ2銭の円高・ドル安の1ドル=80円36~38銭近辺で推移している。
前日のニューヨーク市場では終盤にかけて円買い・ドル売りが優勢となったものの、17日早朝のオセアニア市場では円売り・ドル買いが先行している。目立った取引材料がない中、ユーロや豪ドルといったクロス円取引(ドル以外の通貨に対する円の取引)での円安が進み、対ドルでの円売りに波及した。
円は対ユーロで3日ぶりに反落して始まった。8時30分時点では同3銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=102円22~25銭近辺で推移している。前日までに円買い・ユーロ売りが急激に進んだこともあり、持ち高を調整する円売りが出ている。「前日の欧州市場ではスペインやギリシャの10年物国債の利回り上昇(価格は下落)に一服感が出ており、ユーロ売り一辺倒ではなくなった」(国内銀行)との指摘があった。早朝の取引でも、円売り・ユーロ買いが優勢となっている。
ユーロの対ドル相場は7営業日ぶりに反発して始まった。8時30分時点では同0.0007ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.2720~23ドル近辺で推移している。これまでの下げ幅が大きかった反動から、買い戻しが優勢となっている
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16日のシドニー外国為替市場の円相場は、1ドル=80円20銭台前半と、前日同時点(79円80銭台後半)と比べ約40銭の円安・ドル高で始まった。ユーロは下落し、ユーロ円相場は1ユーロ=102円15~25銭で推移している。
オーストラリア(豪)ドルとニュージーランド(NZ)ドルは下落している。ギリシャで組閣協議が決裂し再選挙実施が決まったことを受け、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が臆測され、投資家はリスク回避姿勢を強めている。
豪ドルは、1豪ドル=0.9935~0.9945ドルと依然として等価(パリティー)水準を割り込み、前日同時点(0.9960~0.9970ドル)と比べドル高・豪ドル安で始まった。一方豪ドルは対円では、79円70~80銭と前日同時点(79円50銭台後半)から上昇している。
NZドルは1NZドル=0.7685~0.7695ドルの水準。対円では1NZドル=61円65~75銭で推移している。
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連立政府の構成に失敗したギリシャ政局が先の見えない状況に陥る中、ユーロ圏(ユーロ使用の17ヵ国)が、「ギリシャの脱ユーロ」を意味する、言わば「グレックシト(Grexit)」モードに転じている。
まず、ユーロ離脱の発言をタブーにしてきた欧州の中央銀行総裁らは軒並み、ギリシャ淘汰の可能性について公に言及している。国際社会がすでに、ギリシャの脱ユーロを既成事実化しており、それに備えた「プランB」に取り掛かっているという見方も次々と出ている。
ドイツ時事週刊誌「シュピーゲル」は14日付けの最新号で、「アデュー、ギリシャ」をカバーストーリーに扱っており、英紙フィナンシャルタイムズ(FT)は、「ギリシャ、ユーロ脱退後」という企画シリーズを連載し始めている。このような予測が現実化すれば、1999年のユーロ発足後13年で、初のユーロ離脱国が出ることになる。
欧州中央銀行(ECB)執行委員であるベルギーのリュック・コーエン中央銀行総裁は14日、FTとのインタビューで、「必要なら、ギリシャとの円満な「決別」ができるだろう」とし、「ユーロ圏の財政危機がこれ以上悪化しても、今のファイウォールで十分食い止めることができる」と主張した。
アイランドのパトリック・ホノハン中央銀行総裁も、「ギリシャ脱退はほかのメンバー国に望ましくない影響を及ぼすことになるだろうが、命取りにはならないだろう」と述べた。欧州連合(EU)のオリ・レーン経済通貨担当執行委員は、「欧州は2年前よりは、ギリシャ離脱の可能性により弾力的に対応できる空気に包まれている」と明らかにした。
FTは、「特にユーロ圏は危機の際に、国公債買い付けや銀行資本投入などに使う救済金融の財源を、計5000億ユーロへと拡大させており、スペインやイタリアなども、信用収縮などに備えた緊急対策作りに乗り出しているので、EU内にはギリシャの離脱リスクをコントロールできるという自信ができている」と分析した。EUの高官は、「2年前なら、ギリシャ脱退はリーマン・ショックに匹敵する大災害であり、1年前までは銀行の相次ぐ倒産をもたらす大変な危険要因だったが、今は準備ができている」と主張した。
FTは、シリザ党(急進左派連合)率いるギリシャの新政権が、EU、ECB、国際通貨基金(IMF)の「トロイカ」と合意した緊縮や構造調整案を「故意に」拒否した場合、脱ユーロの引き金を引くことになるだろうと見込んだ。シティグループのヴィラム・バイタールエコノミストは、「ギリシャのユーロ離脱は、他意ではなく、自分の意思によっておきる可能性が高い」と話した。
FTは、ユーロ脱退後のシナリオまで示している。まず、ギリシャは真っ先に、旧貨幣の「ドラクマ」を復活させるため、新貨幣法と外国為替システムを導入し、従来の各契約を改正し、様々な問題にぶつかるだろうと見込んだ。
なによりもまず、ドラクマ導入後、急激なドラクマ安は避けられないと見られる。IMFは、ドラクマはユーロ平均より15~20%のユーロ高ドラクマ安が進むだろうと見込んだ。ゴールドマンサックスは、ギリシャの対外債務を耐えられるだけのレベルに引き下げるためには、ドラクマを30~50%切り下げなければならないと試算している。切り下げによる超インフレがギリシャにおける最大の危険要因であることに、全てのシナリオが一致している。
さらに、民間部門のデフォルト(債務不履行)はもとより、EU、IMFなどの借金に対する追加デフォルトも起こりかねないことが懸念される。最悪の状況を受け、対外元利金の支払いを中止しても税収入が政府支出を下回る状況が続き、新たな追加の緊縮措置が必要になるものと見られる。ユーロ圏全体から見れば、ギリシャ脱退後、欧州の危険国からドイツなどの安全地帯へと大規模な資金が流れる可能性が懸念されている。FTは、ギリシャに次ぐユーロ離脱の次の候補として、ポルトガルを取り上げている。
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日産自動車(7201)は小動きの始まりとなり、10時にかけては801円(3円安)から784円(20円安)の間で推移。11日の大引け後に発表した2012年3月期の連結決算では、今期の見込みを営業利益28.2%増とするなど、連続増益としたものの、為替前提を1ドル82円とした点を懸念する向きがあるという。今朝の円相場は、東京外為市場では79円と80円の間を出没中。たとえばトヨタ自動車(7203)は1ドル80円を想定。円高が進んだ場合の脆弱さが手控え要因になっているようだ。ただ、直近の安値は5月7日の763円。これを割らない限りは特段、懸念は不要のようだ。
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